在学生?卒業生

芸術学部版画専攻助手で美術家、版画家の松元 悠による個展「断片親子」が開催

芸術学部版画専攻助手で美術家、版画家の松元 悠による個展「断片親子」が、東京都大田区のアート/空家 二人で開催されます。
 
松元 悠は、メディアやSNSが伝えるニュースの現場を訪れ、想像力を働かせながら当事者の姿を描くことで、日常と地続きにある「事件と人間の不可解さ」に迫る作品を制作する新進気鋭の作家です。
 
本展では、松元の作品にしばしば登場する「親子」というテーマを中心に、リトグラフ作品が発表されます。事件の中に見られる「親子」の姿だけでなく、自身の母親との交換日記を通じて生まれた新作や、日常の親子関係を反映させた作品も展示?販売されます。



作品について

松元の作品には、行程があります。まず、新聞やテレビ、ウェブ上で見た気になる出来事が起こった場所を探し、そこへ実際に訪れます。周囲を歩き、思いを巡らせながら、用意した衣装を着て、その関係者を自ら演じます。その情景を写真に撮影し、その素材を切り貼りすることで作品画面をつくりあげるのです。直感的にペンや筆を走らせて絵をつくっていく絵画とは違い、版画というメディアは下絵を版にするという作業が必要です。そのため、絵を客観的に分解する、俯瞰的な目線が自然と制作に入ってきます。松元が行なう一連の行動は、版画的な制作の一部といえるでしょう。
 
現在の制作方法に至るきっかけとなったのは、松元自身の身近で起きた出来事が報道されたことでした。記事が掲載されたウェブページには、第三者が憶測で書き込んだコメントがいくつも並んでいたといいます。その無責任な言葉に反感を覚える一方で、自分の中にある同じような野次馬性にも気付いたといいます。決して当事者には成れない自分が、第三者として事件に関係していく方法、それが現場に行って想像する、という手段だったのです。
 
初期の作品の題材になるのは、三面記事に掲載されるような事件が主でした。しかし近年は、法廷画家としての仕事も行うようになり、世間の耳目を集める事件を扱うことも増えています。実際に容疑者や関係者の言葉を聞くことになった現在、その事件の作品をつくらざるえない心持ちになっても、実際に現場へ行くための心の整理がつかないこともあるといいます。現場へ行かずに制作した作品は、黒1色だけで刷られています。
 
題材となる出来事や事件は様々です。しかし、不思議と「親子」の要素がある作品が多くあります。もちろん、「親子」という関係性における事件が起きやすいという側面はあるでしょう。しかし、それ以上に松元の関心がそこにあることは、間違いありません。実際に作品の中で彼女自身の親に言及することも少なからずあります。また、気になった事件の情報を集める習慣というのも、関心のある新聞記事の切り抜きを集めていた母親からの影響があるといいます。本展では、「親子」に正面から向き合い、母親との交換日記をすることで新作をつくります。その内容は非常に他愛のないものです。しかし、その他愛のなさは、松元の描く事件と断絶されたものではないでしょう。事件が起こる関係の中にも他愛のないやりとりがあり、逆に日常の取るに足らない言葉の中にも、それまで積み上げてきた親子の関係性が隠れているのです。
 
松元は、親子関係を「他者が立ち入れない場所」だといいます。その立ち入れなさを自覚しながら、想像することを辞めないこと。その思いを版画によって表現します。

  • 日程

    2025年10月10日(金)~ 10月27日(月)
    火曜日定休

  • 時間

    12:00~19:00

  • 会場

    〒144-0052 東京都大田区蒲田3丁目10-17
     
  • 出演?出展者

    松元 悠(美術家、版画家/芸術学部版画コース 卒業/芸術学部版画専攻 助手)

  • 予約

    不要

  • 料金

    無料

関連イベント

アーティスト?トーク「親子の事件と私事」

松元 悠によるアーティスト?トークを開催します。
なお、17:30からはアフターパーティーも開催されます。パーティーのみの参加も受け付けています。

開催日程:2025年10月11日(土)
開催時間:16:00~
会場:アート/空家 二人

※イベント中は一部作品の鑑賞が難しくなる場合があります

お問い合わせ先 CONTACT

京都精華大学 広報グループ

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※取材いただく際は、事前に広報グループまでご連絡ください。

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